スマイル歯科ブログ

アーカイブ: 2012年 December

終了

先日、私宛に分厚い封筒が届きました。
差出人は、骨髄移植推進財団。  ついに来たか!と
はやる気持ちを抑えつつ、しかし丁寧に封筒を開けました。
中には「骨髄ドナーコーディネートのお知らせ」が入っていました。

私が骨髄バンクに登録したのは、20年ほど前ですが、
今回初めて私が骨髄提供者の候補の一人として選ばれた訳です。
まだドナーになると決定したのではなく、
詳しい検査や健康チェックなども受けなければなりませんが、
やや高揚した気分で書類に目を通し、数ページにおよぶ問診票、
アンケートなどに記入して返送しました。

ドナーに選ばれ、骨髄を提供することになれば、
4日間程度の入院や骨髄採取時には全身麻酔が必要です。
本人の意志だけでなく、家族の理解・同意も不可欠です。
先日骨髄バンクに登録を済ませた妻に話すと、
仕事を休むことにやや難色を示しましたが、最後は納得してもらえました。
と言うか、「もう何言っても聞かないだろ」の方が近いかも…

数日後、私の担当となったコーディネーターの方から電話を頂きました。
偶然にも新潟の方で、何かの縁を感じます。
検査の日取りと面談のスケジュールが決まりました。

とある病院でコーディネーターと面談を行いました。
これから移植に向けて最大のネックは、仕事を休めるか?
家族の理解・同意はあるか?この2点だそうで、私にも何度も確認がありました。

意思はあっても、どうしても仕事を休めない方は、このご時世少なくないようです。
また家族の理解を得られない場合もあり、
「骨髄なんか取ったら半身不随になってしまう!」などと
笑い話のような家族の反対を受け、面談すらたどり着けない
コーディネーター泣かせのケースもあるとのこと。

私の場合、骨髄バンクが発足して間もなく登録したようで、
登録番号は新潟県で100番台でした。(現在は1万人以上だそうです)
コーディネーターから「登録して20年以上経つのに
今まで一度も候補に上らなかったのは珍しいケースです。
しかも50歳で初めてのドナーに選ばれれば、まさに50歳の星ですね」
と持ち上げていただきました。
しかしドナーの年齢上限は54歳!私には最後のチャンスかも…

プライバシーの順守から、移植を予定している患者さんについては
私はもちろんのこと、コーディネーターでさえも知りません。
逆に患者さんも、誰から移植を受けたかを知ることはできません。
実際に移植が行われても、その結果すら知ることはできないそうです。

後日コーディネーターから電話がありました。
「残念ですがコーディネートは終了です。」
理由はコーディネーターにも知らされないシステムです。
先日の血液検査の結果自体は問題ありませんでしたので、
例えば、患者さんのHLA(DNA)が不一致、他のドナー候補に決まった、
患者さんの病態変化により治療方針が変わった…などなど。

こればかりは仕方ありません。次の機会を待つことにしましょう。

骨髄ドナーになって患者さんの命を救う、なんかカッコイイですし、
私もそこに憧れたわけですが、考えるまでもなく命を救うのは、
患者さんを治療している医師や看護師を始め病院のスタッフの皆さんですし、
一人でも多くの骨髄の型が一致するよう、あちこち飛び回り
調整を行うのは骨髄バンクの方々です。

私がドナーになったとしても、数日の入院や全身麻酔など、
ハードルは低くないですが、患者さんや家族の悲しみに比べれば、
十分飛び越えられる高さではないかと思います。
「救う」だなんておこがましい。ほんの少しのお手伝いです。

でもその「お手伝い」がないと救えない命もあるのです。
骨髄バンクに数多くの方が登録をして下さって、
スムースな移植が1例でも多く行われることを切に祈っています。e5ae9ae795aa

今日は初雪、と言うか初吹雪でした。